ガイコツさんと
おかあさんにも、おとうさんにも、ないしょのはなし。
わたしは、ガイコツさんと、おともだちなのです。すごいでしょって、おにいちゃんや、おともだちに、みせびらかしたいけど。でも、だれにもいえないのです。
だってガイコツさんは、いきているひとを、たべてしまうから。
わたしも、たべられそうでした。さいしょにあったとき、ガイコツさんは、おおきくくちをひらきました。ガイコツさんは、ほねだけのかおに、でもくちのなかには、したがあって、まっしろなかおに、しただけあかくて、それがきれいで、すっごくきれいでした。だから、わたしは、みとれてしまいました。ガイコツさんは、くちをとじてしまって、くびをかたむけて、それから、へんなこだなと、いいました。
「怖くねえのか」
「こわくないよ」
それから、わたしとガイコツさんは、おともだちになりました。
ガイコツさんは、むかし、うえてしんだそうです。うえて、っていうのが、よくわからなかったわたしに、ガイコツさんは、おなかがすいてしんだのだ、とおしえてくれました。だから、わたしのことを、たべようとしたのだなあと、そのときしりました。
わたしは、ガイコツさんに、いろんなたべものをあげました。りんごとか、みかんとか、ばななとか、クッキーとか、ポテトチップスとか。ガイコツさんは、にくがたべたいなあと、いいました。だから、わたしは、ハムをもっていきました。ガイコツさんは、くびをふりました。
「そうじゃねえんだよなあ」
ガイコツさんは、ひとがたべたいらしいのです。へんなしゅみだね、とわたしがいうと、ガイコツさんはふきだしました。
「面白え子だな」
ガイコツさんは、ほそくて、しろい、かたいゆびで、わたしのあたまをなでました。なんだかわたしは、とてもうれしくなりました。
わたしは、わたしをたべてもいいよ、といいました。
ガイコツさんは、なにをいってんだと、わらいました。
「ぜんぶは、だめだけど。すこしなら、いいよ」
ガイコツさんは、いっしゅんだまって、それからいいました。
「少しだけなんざ、かえって腹減るわ」
そして、またわらいました。
わたしは、なやんで、かんがえて、だったら、ぜんぶたべさせてあげようかな、とおもいました。ガイコツさんに、そういうと、ガイコツさんは、わたしのあたまを、なでました。
「お前なんか全部食ったって足りねえよ」
わたしは、まだまだ、ちっちゃいです。だから、いっぱいごはんをたべて、おおきくなろうとおもいます。そうしたら、ガイコツさんは、わたしをたべてくれるでしょうか。
あの、あかいしたのうえに、わたしをのせてくれるでしょうか。